2011年02月26日

第11回「ル・マンジュ・トゥー」

「シェフの小さな城」

市ヶ谷の住宅街に店を構えてから16年、今尚、最先端のフランス
料理を発信しながら後進達の憧れの的として存在しつづける谷昇
シェフ。今回は谷シェフの城である、この「ル・マンジュ・トゥ
ー」について紹介します。
 とてもシンプルで料理人谷昇の哲学を表現したような内装。し
かしここに至るには長い熟考と思索の期間があったという。もと
もと一つの建物の半分がマンジュトゥで、角を曲がったところに
はタバコ屋があって、その二階がアパートになっていた。移転改
修にあたって、このタバコ店も含めた全体を店舗として使用する
ことになったことで、レストランとしての店構えをきちんと作る
ことができた。
 一階の入口はガラス張りになっていて、外から覗くとカウンタ
ー越しに調理場が全貌できる。カウンターは最初のもくろみで、
酒屋のカウンターをイメージして作ったシェフズデーブル。一品
とグラスワインをちょっと引っ掛けて帰るようなお客様にきても
らおうという気持ちから計画した。とはいえ、上のレストランと
同じメニューをしっかり食して帰るお客様も結構いた。レストラ
ンは一階が厨房、2階がホールになっている。2階にはパントリ
ーと化粧室もあるので、ホールの面積はかなり小さい。席数で
14席。そのうち7席が壁沿いのベンチシートで7脚が椅子。旧
店が24席あったことを考えると思い切った減数である。これに
ついては、以前の店が動線が長く、料理を作ってからお客様に届
けるまでの時間がかかってしまったなどの問題があり、自分達の
経験から考案したできるだけ機能的なサービス動線、お客様にゆ
っくりと過ごしてもらえる空間作りを優先して席数を減らしたと
いうことであった。

rimg.php.jpeg

 レストランを入ってから2階のホールには階段を上ってアプロ
ーチする。このアプローチはレストランにとって、とても大切な
プロセスである。日常の喧噪から離れてレストランの扉をあける。
そこがすぐホールだとどうしても気持ちの整理ができずに日常を
引きずったまま食卓につくことになるが、谷シェフはこの道のり
にできるだけ長いプレリュードを演出してくれというリクエスト
をデザイナーに出した。そしてこの階段部分を上るとき、すこし
づつ気持ちが高鳴り、これから始まる食事への期待が高まってく
るのである。
 ホールの空間は、至ってシンプルにできている。余計なものは
なにもなく、気のきいた調度品がいくつか置かれている。レスト
ランによくある絵や写真などははじめから一切置く気はなかった
のだそうだ。脚が音符になっている人形はメートルの楠本氏がロ
イヤルコペンハーゲンで購入したもの。そして皿についてはこれ
も磁器で探した結果リチャードジノリの皿に行き着いた。毎年自
分達が変化している努力をお客様にも感じてもらうため、新作の
発表会には必ず足を運び、少しづつコレクションも増やしている。

マンジュトゥ平面.jpg

もう一つこの店の特徴として見逃せないのはかすかなアロマの香
りである。もちろん食事を邪魔するようなものではない。おしぼ
り、化粧室のタオルなどにひっそりと潜ませている香り。これは
奥様がチュニジア人の先生から学んだアロマを展開して、季節ご
とに香りを変えて、食事の空間を優しく演出しているものだ。タ
オルやリネンは全て自分達で洗って、管理している。
 椅子についてもこだわった結果、まず7脚ある椅子を決めてか
ら内装のデザインをはじめたということだ。その椅子が空間の中
で確かに主役を演じている。
 谷シェフは今後もっと卓数を減らして食事の時間と空間を改善
していきたいと語る。理想的には一日一客、しかし商売にならな
いので、その分一階のシェフズテーブルも充実させ、ハレの世界
とケの世界をしっかりと分けて、さらに先のレストランを目指し
ている。
 オーナーシェフだからこそできること。それがこの店には満ち
あふれている。現状に満足することなく、あくまで高みを目指す
谷昇シェフの気持ちが伝わってくる。「ル・マンジュ・トゥ」で
はそんな空間も料理の大切な脇役の一つとなっている。
posted by ニコラス at 01:01| Comment(1) | レストランインテリア | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
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Posted by 光速掲示板 at 2012年03月07日 04:16
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